些末な放水

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黒い野良犬が、高い電信柱のふもとに小便しているのを、僕はみてしまったような気がする。 無意識の内に記憶を改竄してしまったのか、その記憶はひどく曖昧で、もしかしたらそれは人間だったかもしれない。 それはともかく、現に電信柱のふもとは湿原の如く潤い、その様の麗しいことといったらまるで宇宙の果ての曼荼羅模様の如し。 僕は不愉快な気分になって、電信柱をたもとから引っこ抜いてしまった。 すると、突然のエクスタシーがリビドーを伴わない形で飛び込んできて、僕はその残骸を恐る恐る見ると、しわしわのふにゃふにゃになってそこにあるのみの存在と化していた。
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