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「お姉様ぁぁぁぁあ!?」
混乱醒め止まぬ中、悲痛な少女の叫び。
未だもうもうと埃やわけのわからぬゴミが舞い上がっている。
それでも少女は臆することなく、檀上に飛び上がり、安否不明の姉の姿を探した。
不意に、ぴちゃり……と何か液体を踏んだ。
無論それは血液であり……
血の気が引いていくのがわかる。
すぐさま魔法で埃を吹き飛ばすと、そこには無残な姿をした姉がいた。
「お姉様ッ!? ディオネお姉様しっかりしてください」
少女は心のどこかで、いつも完璧で無欠の姉なら大丈夫だろうと慢心していた。
だけどそれは仕方ない。
それほどまでにも、ディオネは英雄だった。
この程度の奇襲で、負傷などしないほど、英雄だった。
だけど、それが今や……
無数の金属の破片が突き刺さり、美しい白肌は赤く爛れていた。
「誰か! 早く救護班を!」
それでも手遅れではないかとよぎる。それを振り払うように叫ぶ。
喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。
だけどそれを嘲笑うかのように、爆弾のようなものが少女の前にあり────
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