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瞬間、閃光と轟音。
だけどそれは少女たちから遥か彼方で。
それは逃げ惑う少年少女の頭上で。
盛大に爆発した。
少女は爆弾を蹴り飛ばした執事服を着たものに視線を送り──
「速く、速くお姉様を……」
「わかっています」
執事服を着た男装の麗人は首辺りで一つにまとめた背中まである銀髪を振り乱し、ディオネに手を翳した。
「クロノ・ファクター……リウィンド」
流れ出ていた血液が……
千切れ跳んでいた幾本の指が……
赤く爛れた皮膚が……
まるで逆再生でもされるかのように、ディオネのもとに戻っていく。
幾ばくかディオネの顔色は良くなる。
「くっ……はぁはぁ、これでもう」
荒げた呼吸を戻すように、深く息を吐きだし……
「一応の処置は施しましたが……」
彼女の険しい表情はなくならない。
安心して涙が止まらなくなった主人の妹を庇うように前に立ち、彼女は自信の獲物を抜いた。
まだ敵がいるのだ。それも仕留めきれなかった主人を虎視眈々と狙っている。
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