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騒ぎを聞きつけた教師たちが近づこうとしてきたが、執事はどこからか取り出したナイフを突き付けて牽制した。
「これ以上お嬢様に近づかないでください」
それもそうだ。敵が誰なのか、どこにいるのかわからないのだから。
もしかしたら教師たちの中にいるのかもしれない。
もしかしたら生徒たちの中にいるのかもしれない。
それでお嬢様を失えば最低だ。
戦場で誰かを信じるなんて、笑えないほどの愚策だ。
だから執事は例えどんなことがあっても、お嬢様を守れる距離で構える。
「エリスさま、結界を張っておいてください」
「わ、わかりました」
背後で魔力が練り上げあれ、ちょっとやそっとじゃ壊れない頑丈な結界が張られた。
これで少しは安全度が増した、と信じたい。
執事が信じきれないのも無理はない。
あの、ディオネの防御を突き破る爆弾ならこの結界なんか紙屑程度だろう。
気は抜けない。
探せども探せども、目に入ってくるのは阿鼻叫喚し、逃げ惑う生徒たち。
幾人かの教師が避難誘導しているが、混乱醒め止まない。
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