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カラリン、 小気味良いベルの音とともに扉が開く そこから顔を出したのは年のころ17,8といったところの若い男だった 「おはよう、ジェム」 彼が声をかけたのは大きなガラスケースの中で微笑む少女 輝く宝石のような蒼の瞳 まるで絹糸のようにさらりと流れる金色の髪 きめ細やかな、白く透き通る肌 彼女は、到底この世のものとは思えないほどの眩い輝きを放っていた それもそのはずだ、彼女は生きてはいないのだから その蒼の瞳が瞼によって閉ざされることはないし、 そのきめ細やかな肌が熱を帯びることもない 彼女は人形、そして彼女の髪をなでるこの男は彼女を作った人形師だ 「今日もきれいだよ、ジェム」 青年は微笑み、彼女に背を向ける、店の準備に取り掛かるのだろう
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