少女君臨

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「今日どこ行くー?」 「あ、あそこは?駅前に新しく出来たカフェ!ケーキおいしいらしいよー」 「いいねいいね!陽花もそれでいい?」 「いいよー!ケーキ超楽しみっ!」 あたしはただの女子高生。 ワケわかんない授業にウンザリしたり、放課後は仲良しの友達と遊びに出かけたり。 「でさあ、そのときヒロが…」 「出ましたノロケ!」 「いいなーっ、彼氏」 たまには恋バナとかで盛り上がったりして、大好きなケーキを体重を気にしつつ貪る。 口の中に広がる甘いクリームの味。 渋く感じる熱い紅茶を、談笑の合間に啜る。 これが、あたしの日常。 勉強は出来ない、運動は人並み、芸術系はてんで才能がない。 縦書きの活字を見ていると眠気が襲ってくるし、嫌いな人だって何人か居る。 それが“あたし”。 でも、そんなあたしがあんな経験をするなんて、この時はまだ知らなかった―― .
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