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「僕はアスランと申します。あちらがサク。貴女様のお名前を伺ってもよろしいですか?」
ああ、やっぱり日本人じゃなかったんだ。
外国の人が流暢な日本語を話すのって、なんか違和感を感じる。
「あ、…マイネームイズ陽花」
どうやらあたしは案外混乱しているようだ。
日本語はわかっても英語はわからないらしい。目の前の彼は、首を傾げている。
「ええっと、それは貴女様の世界の言語ですか?」
「あ、はい。あたしの名前は陽花です」
自分の失態をごまかすように苦笑いを浮かべてそう言う。
アスランと名乗った男の人は、にこにこと屈託の無い笑顔を浮かべていた。
「ハルカ様ですね!よろしくお願いいたしま」
「アスラーン、おいていかないでくださいよお」
す、とアスランが言い切る前に、誰かの大きな声が被さる。
耳を澄ませば、小さな足音が聞こえた。
部屋に入ってきたのは、どう見ても小学生位の幼い男の子だった。
「ああ、ノエルですか。すみません、忘れていました。」
「ひどいよぉ…。あ、もしかして、そちらの方が勇者様?」
青い髪の少年は、女の子のような声でそう言った。
アスランやサク?っていう人のはあまり長くないけれど、彼の髪は肩の辺りまであった。
「紹介が遅れました。ハルカ様、こちらはノエル。我が国の召喚士で、貴女を召喚したのも彼です。」
「勇者様、申し訳ありません。ぼくのミスでこのような場所に召喚してしまい…」
しゅんとした顔で頭を下げるノエル。
あたしはここに来る前に見た、あの光を放つ魔法陣を思い出した。
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