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智恵と一緒に暑い街を歩く。所謂ウィンドウショッピングと呼ばれるものだ。
こんな時に知り合いに会ったら、終わる。俺の学校生活が…。
なんてことはないが…。
奴にだけは見つかりませんように…と、心の中で居るかどうかも分からない神にお願いする。
「ふ~んふ~ん」
…智恵が楽しそうだから、どうでもいいか。
「あ、信号が変わっちゃうよ!早く早く!」
智恵が走り出す。信号が点滅していた。
「あ、馬鹿!危ないぞ!」
後を追って俺も走り出した。
智恵が横断歩道の真ん中辺りに来たころ、俺の視界の右隅に車を捉えた。
車は明らかに智恵を跳ねる。
「ぐっ」
視界が灰色になり、全てが固まる。けれど、自分は動けた。
智恵目掛けて全力で跳ぶ。手が智恵を押した瞬間、視界が色を取り戻し動き出す。
「えっ」
智恵が驚愕の声を出す。当たり前か。
車は眼前まで迫っていた。
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