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「いえ、今すぐに」
「ありがと」
一礼し男が去ると、少女は傍のベッドの上にポスンと仰向けに横になった。
それから独り言をぽつりと口にし、あれやこれやと思い描くのだ。
「一国の騎士が亡命、か。そこまでして彼は、一体何を求めているのかしら?」
少女はその思いがなにものであるのか、知らずに日々を過ごしている。ふと瞳を閉じ瞼の裏に映るその姿は、赤茶の髪をした一人の青年の姿なのだ。
そして、決して結ばれることのない二人の物語が、ここに始まるのだ。
「あー、暇!」
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