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「あ、それと、私の事はリュミエールじゃなくて、ルミって呼んで」
「ルミ?」
「うん、そ。だから私も、これからはずっとベルって呼ぶことにする。ガリア語で言うなら……イヴェリアル?」
突然、謎の単語がリュミエールの口から飛び出した。
何にせよそれは、彼女が言うにベリアルとイヴェリアを掛けたものらしいが、どちらにせよ良い名前ではないのは確かだ。
けれどどうしてだろうか。彼女に言われるとそれは、天使の歌声のようにも聞こえてしまうのだ。
「どこの悪魔だよ」
「私の悪魔で」
「はっ、よく言うよ。つぅか、ガリア語でもねぇだろ。それに────」
「?」
「お前の方が悪魔に相応しいだろ」と。そう言いかけたヴェリアーニだが、彼女の心の傷を更に深めてしまうのではと、そういった恐怖感に襲われ、零れかけた言葉をムリヤリに喉の奥へと押し込んだ。
「……、ねぇ、ベル。孤独って辛いものなのかしら?」
直後、咄嗟の一言。
一体彼女が今何を思ってそんなことを口にしたのかは分からないが、ヴェリアーニはそこを突き詰めようとは思わなかった。いいや、どう返せば分からなかったのだ。確かに自分も孤独を感じてはいた。けれど、一人一人その感じ方は違うのではないか、と。それは、人により幸せの形が違うのと同じように、悲しみの形も。
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