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「知るか。ほら、終わったぞ」
「あ、うん」
ハァ── と、長いため息の後彼は、「それより、この窓どうすっか」と、落胆の歎きを口にした。そもそも、部屋がなかなか温まらないのもこれのせいなのだ。
朝が訪れてから、この部屋に彼等以外のものは立ち入ってはいない。しかし、もし誰か第三者の者がここに入ってきた時、これを見たらどう思うだろうか。
そう心配していたヴェリアーニだが、次に発っせられた彼女の言葉により、少しは気持ちを和らげることができた。
「それは心配しなくていいわ。ジョゼフに直させるから。この予知も全部伝えてあるし」
「ジョゼフ?」
「執事のじいやよ、私の。……えい!!」
「────んがッ!?」
不意打ちの菓子砲撃。何かものを言いたげな彼の口元目掛け、リュミエールが間食を放り込んできたのだ。
相手の状況などお構い無しに。
「ウエハースよ。有り難くいただきなさい」
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