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ペンダントの上を、少女が親指で軽く押すとカチリと音が聞こえた。
どうやらそのペンダントはロケット状になっていたらしく、その銀色のペンダントは、そのまま彼女の細い指によって左右に開かれた。
中から、数ミリ程の小さな赤い欠片が顔を出した。
よく目を凝らすとそれは、鈍く怪しい光を発していた。まるで、見る者を別の世界へと誘っているかのように。
その時、少女は息を呑んだ。赤い欠片が独りでに、ピキリと音をたて割れたから。それから一瞬、その中から青紫色をした何かが、空に向かい飛び去っていったように見えたのだ。だから少女は声をあげたのだ。
「あ」
少女は短く、詠嘆の声を漏らした。再び見上げた空に、幻想的な世界が広がっていたのだ。
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