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「キャッ────」
「馬鹿!! 後ろ向いたまま歩く馬鹿がどこにいるんだよ!!」
小さな崖が、そこにはあった。彼が咄嗟に腕を伸ばし手を掴んでくれたから良いものの、もしも今彼がいなかったら──。
そう考えると自分の愚かさに恥ずかしさを覚え、リュミエールはヴェリアーニの視線から逃れるように、更に右へ右へと視線を反らす。
「こ、ここにいるじゃない……」
「分かってんなら目ェ逸らすな」
いや、彼がいなければこんな事にはならなかったのでは。腕を引かれるとき彼女はふと、そんなことを思いはしたが、敢えて口にすることはなかった。
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