第二章 未来の嘘偽

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   急に足を止めたリュミエールが、小さな声で口火を切った。それに二、三歩遅れ、ヴェリアーニもまたその歩みを止めた。 「きったねぇ家だな」  土色の屋根を除いて、その殆どが白に覆われた小さな古めかしい洋館。外壁に纏わり付く茨も相まってか、その古ぼけた外観をより一層に高めている。  それを見たヴェリアーニがポツリと、止まるや否そう言葉を漏らしたのだ。 「む、失礼ね。こう見えてこのお屋敷、うちの別荘なんだから」  丸く切り取られた空から降り注いでいた陽光は、今や雲に陰り、天上はすぐにでも泣きだしそうな雰囲気が漂っていた。 「茨に抱かれた姫君、ね。確かにルミにはお似合いだな」 「どこがどんな風に?」 「痛々しいところがとっても」 「また人のこと馬鹿にして!!」 「そうすぐ怒るなって。だからガキって言われんだろ」 「また────!!」  そうしてリュミエールが手を振り上げた拍子、すぐさまそれに反応し、片手を頭上に構えるヴェリアーニ。 「綺麗なものに程棘があるっていうだろ?」  頬を赤らめ膨らませた少女に皆まで言わせることなく、優しげな物腰でそう問い返したヴェリアーニ。  もちろん、彼に向けられたその小さな平手は遅く、そのまま構えられた彼の手に掴まれゆっくりと下げられた。  
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