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「あそこにあるのがアルタイル、織姫だ。で、天の川を挟んであるのが────」
「よく分からないわ」
リュミエールは、彼の解説に割って入り、わざと拗ねたような顔を見せ口を尖らせる。
「だから……良く聞けよ? ほら、俺の指の先にある、天の川にある十字を切った星座があるだろ? あれが白鳥座で────」
その時だ。彼らの見ている前で、本当に一瞬、流れ星が現れたのだ。
説明をしかけたヴェリアーニの言葉はそこで途絶え、彼はあっけにとられたように口を開いている。
そして────
「み、見たか!? 今の!」
「当たり前でしょ……」
子供のようにはしゃぐヴェリアーニ。
普段の彼からは予想すら出来ないその様子から、彼は本当に星が好きだということが言わずとも知れた。
そんなヴェリアーニに対してリュミエールは、ちょっとした悪戯心から、突然彼に抱き付いた。
「大好き!」
「………………、え?」
「いや……ちょ、ちょっと待て! 俺らは会ってそんな時間がたってない……ってか、何より俺はお前みてぇなガキには────」
「なに焦ってるの? 冗談よ、冗談」
彼の動揺している様子からして、恐らく図星だろう。鈴蘭畑のことといい、彼は嘘をつくことが苦手なのかもしれない。
リュミエールは無邪気にはにかみながら、そう思う。
「………………、この女……」
恐らく、その考えは間違いではないだろう。それは彼の、上気した顔からも見てとれた。
夜の闇のせいで、それがリュミエールに知れることはないのだけれど。
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