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１人、イジケ虫が出た。
『カバの歯磨き教室』が、カバの赤ちゃんが体調不良の為お休みになった。
それを知ったコウが、ガクリと路上にくずおれた。
そこまで、見たかったのか？
「こうちゃんこうちゃん、レッサーパンダ見に行こう！ その後は、お昼だよ？」
コウの頭を撫でながら和泉が慰め(？)れば、笑顔で立ち上がるコウ。
「レッサーパンダは、『ほのぼの』コーナーだよ？」
案内図見ながらタケが指差した方向と、既に真逆の方向に進み出していた和泉を、慌てて伊織が止める。
「だから、こっちだ」
ガッシリ和泉の頭を掴んで、伊織は誘導する。
「ビーバーもいるって！」
珍しく和泉から手を離して、タッタカ走り出すタケを、コウが追う。
「猿コーナー、ワニ館、アライグマやヤマアラシ、結構いるな」
やはり案内図を見ながら呟いた李杜の双眸が、眼鏡越しにキラリと光る。
「蛇の蛻に、触れるそうだ」
ヒッと、宏の短い悲鳴が上がる。
青醒める宏に、もしやと思って問い掛けた。
「宏、生き物苦手か？」
頷きそうになった頭を、宏は横に振る。
そして、なんだかうるうるした目で、俺を見上げて来た。
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