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諦めて、宏の保護者を務める事にする。
俺のシャツの裾をしっかり握り締めた宏をくっ付けたまま、皆の後を付いて行く。
園内に入った後は、自由に広がって進んでいた。
ぞろぞろ横に広がって歩いても、邪魔にはならない様だったからだ。
居るのも親子連れが大半なので、五月蝿く騒がれる事も、殆ど無かった。
過ごし易い環境だ。
前方のタケが、1つの檻の前でへたりと座り込んだ。
「レッサーパンダが、レッサーパンダが、殺人現場になってる~!」
殺人って、タケ、お前それ動物だぞ?
第一、何が『殺人現場』なんだ……
檻に歩み寄り、納得!
レッサーパンダが檻のはしっこで、俯せの状態で伸びきっていたんだが、何かの入れ物を掴もうとしているかの様に前足一本伸ばし、ピクリともしない。
チョークで囲ったら、完璧『殺人現場』だな?
笑える。
「たけちゃん、たけちゃん!」
別の檻の前から、和泉がお出でお出でと、タケを呼ぶ。
「タヌキは起きてるよ!」
ぴょんこと別の檻に飛び付き、
「アライグマもだ!」
と叫んでら。
たったか走り寄るタケ。
並んで檻の中を覗き込む2人は、にへら~と笑う。
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