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「それで李杜は和美ちゃんに撮影を頼んで、和美ちゃんも同行した、と言う訳だったんだね?」
そう訊いてくる真澄に、わたしは頷きを返す。
但し、チケットの為と言う本音は隠します。
まあ、喫茶店なんかに居続けるなら、自分で撮れば良いのにとは思ったけど。
でも李杜ったら、わたしの大好きなアイドルのコンサートの、わたしが買い損ねたチケットを、しかもアリーナ席のをくれたのよね。
そんなお宝を貰っちゃたら、断われ無いってもんよ。
「そんな事、どうでも良い!」
突然、和泉が叫び出す。
「和美、ありがとう! 和美、大好き!」
今にもわたしにキスして来そうな勢いで、和泉が抱き付いて来た。
今は可愛い美少女姿でも、実の兄にキスなんかされたかないわ!
「わかったわかったから、離ーれーてー!」
なんとか離れた和泉は、ぬいぐるみを抱き締めて狂喜乱舞してる。
くるくる回る和泉。
を、羨まし気に、指をくわえて見詰める尊。
「いーないーな、いっちゃんばっかり、狡い!」
あ、不味い!
尊がいじける!
慌てて尊にも、和泉と同じ袋を手渡す。
「えっ?」
可愛く、小首を傾げる尊。
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