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「えー、良いじゃん! 幼稚園の頃も知ってんだし、ロック、今も俺より小さいし~」
「小さい、言うな!! これでも、それなりに、成長したんだからな!!」
「えー、もっと小さかった和泉だって、こんなに成長してんのに~」
和泉の頭を鷲掴みして、ロックの顔面まで和泉の顔を下げさせ、都織は意地悪く言い放つ。
言い返そうとしたロックは、真正面から和泉に見詰められ、ふにゃりんとした顔になって、
「いっちゃん……可愛い……」
何ぞと宣った。
「ロックのが可愛いよ?」
苦笑混じりに和泉は返し、頭を振って都織の手を振り払う。
「どうしたの?」
賑やかな前方に気付いて、真澄が問い掛けて来た。
「いっちゃんが可愛いんだ」
ロックの答えは、答えになっていない。
繋いだままの和泉の手に頬擦りしたロックは、ビシバシビシバシ、タケに扇子で叩かれている。
「この、エロック!」
とか喚くタケに、
「俺といっちゃんの愛を邪魔するなんて、たけちゃん、馬に蹴られるぞー!」
へこたれ無いロックの返答は、真澄を吹き出させた。
「傍迷惑な信奉者だね」
と真澄は笑う。
至極、愉しそうに。
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