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タケには執着している位、目を向けているのに。
何故か兄さんと俺は、放置されてた。
まあ母さんが、その分煩かったが。
ただ、やはりタケと差を付けられてる気がして、小さい頃にその理由を訊いてみた事がある。
『俺に似ているお前達なら、心配要らないだろ』
父さんの答えは、それだけだった。
当時は意味が解らなかったが、今なら何となく解る。
兄さんと俺なら、上手くやれるって事なんだろう、と。
一応、父さんに信頼されている、そう思えば父さんの仕打ちも許せる。
そう纏めて語った俺に兄さんは、
「タク、あの糞親父はそんなまともな事、考えてないぞ。 ただ単に、タケが可愛いだけだ。 あからさまな依怙贔屓だぞ」
身も蓋もない事を言ってのけた。
……かもな?
まあ、良いさ。
俺もタケが、可愛くて仕方無いし。
「こっち側は、遊園地だー!」
叫ぶが早いか、遊園地に向かって突進しそうなロックを、繋いだままの手を引いて、慌てて和泉が押し留めた。
「遊園地は後! 先ずは、ホワイトタイガーなの!」
おー、和泉が珍しく強気だ。
ぶーと剥れるロックの手を引いて、たったか歩き出す和泉。
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