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今、この長屋の奥にある一室で数人の仲間たちが何やら怪しい作戦を立てていた。
「――良し、ではこの作戦でいく。反対な奴はいるか?」
この中のリーダーらしき人物が皆に同意を求め、周りを見渡した。
「よし、では全員一致であるな。それでは今後の――「すみません、お話中失礼しますよ。」!?……お前は一体何者だ!!」
急に後ろから声がし、振り返って見るとそこには全身黒に身を包み、奇妙なお面をつけた人物が立っていた。
「私、ですか?……そうですね。ひとまず『ピエロ』と名乗っておきますか。」
「ピエロ?ふっ、まあいい。
そのピエロとやらは我らに何かようか?」
「用って言うほどの用はありませんが、何やら楽しそうな話をしていたので私も仲間に入れてもらいたいと思いまして…」
「はっ、仲間に入れてもらう?そんな風には1ミリも思っているように見えないが…
まぁ、お前に対して何も恨みはない。
しかし、話を聞かれているとなると話は別だ。」
そう言って、リーダーの男は仲間に向かって目で合図し、逃がさないよう入り口を塞がせた。
そんな中、立場上一番自分の身が危険であるのにも関わらず、
ピエロの男は急に笑い出した。
「……何が可笑しい。」
「いえいえ、私一人に対して、あなた方は10人弱いるのにどうしてわざわざ入り口を塞ぐ必要があるのかと思いまして……
それに、あなた達がこれからこの国のお偉いさんの命を奪おうとしている話なんて、一切聞いてなんかいませんよって……あっ!」
わざと言ったのか、それとも素で言ったのか……
言った本人しか分からないが、自分で自分の首を締めている事に変わりはない。
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