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『あちらの私』とは。
それを少し説明しよう。
私にはもう一人の私がいる。
それは全人類に共通する事なのだが、簡単に言うとそれを意識体と言う。
意識体は肉体を離れ、いろんな世界に行く事が出来る便利な体だと思ってくれればいい。
私が『あちらの私』というのは、意識体の事を示している。
人間は夢をみる。
たまに妙にリアルで現実かと思う夢をみたことはないだろうか。
全ての夢がそうだとは言い切れないが、たまにそれが意識体の記憶だったりする。
普通の人間はその事に気づかない。
しかし、意識体の記憶を本体の記憶と共有できる人間もいる。
霊感が強いものに多く見られ、意識の壁を突破した人間達だ。
その人間の一人が、私の親友くみっちである。
私は能力が不安定だった。
異世界の住人の存在は感じても、声と気配しかわからない。
さらに、夢と意識体の記憶をごちゃ混ぜにし、自分の都合の良いように書き換えて夢を見るという悪い癖がある。
だから、もっぱらあちらの記憶はくみっちを頼る事にしている。
何故そこまで意識体にこだわるかと言うと、颯たちに触れれるのは意識体だけだったからだ。
そして、私は意識体で颯たちの世界で暮らしているのである。
さらにもう一つ、意識体と本体は表裏一体で、元は同じものであるという事を忘れてはならない。
「あっちの私も太ってきてるって!?」
「本体が怠けてたら影響するでしょうね」
「ガーン」
「ショックを受ける前に行動!言い訳はいらないから痩せなさい。痩せればあっちも戻るわね」
体重がこれ以上増えると
1、親友を失う
2、あちらの体も醜く太る
これは大問題である。
兎にも角にも、私が頑張らなければ、あちらの私にも申し訳ない。
私は再び『なんちゃって腹筋』を始めるのであった。
そんな中、あちらの私はというと…
そんな事を知らずに、まったりと月鬼の里で暮らしを満喫しているのであった。
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