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千尋のまわりにはすぐに人だかりが出来た。
女子がキャーキャー騒いでいたけど、千尋はただ優しく微笑んでいるだけだった。
その微笑みはまるで天使のように美しく気高い。
女子の異様なまでの興奮。
男子の好奇の目。
その全てを慌てることなく受け止めている千尋。
その様子を俺はただ呆然と見つめることしか出来なかった。
見つめるっつーか、完全にみとれていた。
気づけば、あれからもう約半年。
俺と千尋の関係は出会ったときから何も変わっていないし、俺の好きという気持ちも変わっていない。
悲しいかな、何も変わってないんだ………
「……ちゃん、優ちゃん!」
「…ぅわ!!!」
さっきまで遠くで倉本にハグされていたはずの千尋が突然目の前に現れた。
は!?
なに!?
瞬間移動!?
…んなわけねーか。
「そんな驚く?さっきから呼んでたんだけど…。なぁ、秋?」
「え!?」
慌てて隣にいた上條に目をやると、腕で顔を隠し必死に笑いをこらえている。
おい、コラ…
てめぇ…
気づいてたんなら教えろや!!
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