紹介

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「いらっしゃいませ。ご注文はいかがなさいますか?」 俺が座ったと同時に話かけてくる店員。 「ビールと、このピザで。」 女が好きそうなピザを適当に選んでメニューを指した。 「かしこまりました。以上で宜しいですか?」 店員の声に頷き、目の前の瑚渡さんに目をやる。 「瓜櫂くんの大学の同級生でしたっけ?」 瑚渡さんに話掛けようかと思ったが逆に話掛けられ、はぃ、と答えた。 「はぃ、じゃ話続かねーじゃん!笑   学部も同じだったんだけど、コイツは携帯販売してんだ」 槇途が俺の代わりに瑚渡さんに話してくれる。 「そうなんだぁ、瓜櫂くんと同じ、出版社勤務じゃないんだぁ」 槇途の言葉に少し微笑んだ瑚渡さんは、少し残念そうな目をして俺の手・・腕時計にちらり、と目をやった。 溜め息をつきそうになる。 そうだょ、普通の、安い腕時計・・身の丈に合った腕時計付けてるよ。 高額のものでなくて悪かったな。 女は皆、そういうものなのか? ・・いくら美人でも、男に金があるかどうか、まずそれを判断する女は好きになれない。 いやいや、まだ瑚渡さんがそんな女だと決まった訳じゃない。 腕時計を見たのも気のせいかもしれないじゃないか。 そう、自分に言い聞かせて 「瑚渡さんはどんな仕事してるんすか?」 と、聞いてみた。
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