紹介

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瑚渡さんが席を経って30分は経過しただろう。 何かあったのか?と、流石に心配になり、お手洗いの方に向かった。 扉の向こうにいるんだろう、瑚渡さんの姿が見当たらない。 ━トントン━ 扉を軽く叩き、 「瑚渡さん?」 と呼んでみた。 パッと開いた扉。 涙目の瑚渡さんが視界に入ったかと思うと、俺の胸の中に飛び込んできた。 反射的に彼女を受け止め、抱きしめると、少し震えているのが伝わってくる。 「どうした?」 瑚渡さんを抱きしめたまま、優しく問うと、 「助けてっ・・」 か細い声が聞こえ、力なく、しゃがみこもうとした瑚渡さんの身体を引き寄せ、しっかりと抱きしめた。 「俺はどうしたらいい?」 少しの沈黙。 「側にいて・・翔胡・・・」 震えながら俺の名前を呼ぶ瑚渡さん。 「瑚渡?・・側にいるから」 思い切って俺も呼び捨てで瑚渡さんの名前を呼び、そう言うと、心配そうに、泣きはらした目で俺を見つめてくる瑚渡。 瑚渡をもう一度引き寄せ、キスをした。
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