確かな姿。

プロローグ

━ﾋﾟﾘﾘﾘﾘ━

夜の静寂を破る、携帯の着信音。

画面を見て溜め息が漏れる。

「もしもし？」

出来るだけ明るい声になるよう努めて、電話に出る。

「ねぇ、まだぁ？」

彼女の声が聞こえる。

勿論、嫌いではないが、こんな時はイライラする。

まだか、まだかと催促してくる彼女に逢いたいとは思えない。

これは俺だけなのか？

そんな気持ちに気付かれないよう、

「ん？もう少しだからな。」

細心の注意を払って、彼女に答えた。