すれ違う心

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♪〓♪〓♪ 携帯の音に目を覚ます。 画面を開けると10時30分。 「やべっ!!」 急いで起き上がる。 洗面台に向かい、顔を洗う。 「翔胡おはよう」 後ろから話掛けてくる瑚渡。 「おはよう」 そう言いながら、歯磨きを始める。 「朝食は?」 「食べる時間ねぇ。 ごめんな?」 そう言って瑚渡の頭を撫でると寂しそうな顔をする瑚渡。 「側に居てよ」 抱きついてきた瑚渡に 「ごめん、てか準備出来ねーよ」 そう言って瑚渡の体を自分から引き離す。 ・・朝から面倒くさい。 時間もないし相手にしてられないこと理解しろよ。 まだ一緒に住み始めたばかりなのにもう出て行って貰いたくなる。 ・・先が不安だ。 ・・というか、いつ出て行くんだ? 歯磨きを終え、ヘアセットを始める。 「本当に今日お仕事なの?」 俺の背中に抱きついて訳の分からないことを言ってくる瑚渡。 「当たり前だろ」 冷たく言葉を放ち、簡単にヘアセットを終える。 いつまでも俺にしがみついている瑚渡を引き剥がし、 「住所メールするから」 そう言ってスーツに着替えた。 「分かった。  翔胡の職場行っても良い?」 ・・は? 職場に?  ・・いやいや、有り得ないだろ。 確かに携帯売り場なんて誰でも来れるが・・ 瑚渡は俺の彼女でもなんでもないだろう。 関係がよく分からない、女。 職場の人間にバレたくないし、ましてや紹介なんてしたくない。 「来なくていーよ。ゆっくりしてな?」 そう言って優しくキスを落とす。 「逢いたいの」 抱きついてくる瑚渡に来るなと言ってもまた何か行ってくるだろう。 それより時間がヤバい。 職場を教えている訳でもない。 「ハハ、ありがとう、行ってきます」 鞄を掴み、瑚渡に軽く微笑んで玄関に向かう。 「行ってらっしゃい」 そう言った瑚渡に合い鍵を渡し、家を出て行った。
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