すれ違う心

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漸く、売り場のバックヤードに着いた。 「翔胡の猫って彼女?」 ラピッ○(業務用パソコン)の操作をし、笑いながら呑気に話掛けてくる雨帷。 「彼女じゃねーよ。」 「猫はあの子だろ?」 dokumonのカーテンの隙間から瑚渡を指差す雨帷。 「猫は正解。」 「同棲してんだ?」 「飼ってる」 「好きなんだろ?訳わかんないこと言ってないで早く猫ちゃんとこ言って来いよ」 ・・溜め息が出る。 瑚渡に逢いたい訳じゃなかったし 好きでもない。 雨帷に説明するのも面倒。 勘違いされたままも嫌だ。 瑚渡の身体は 瑚渡との情事は 好きだ。 ・・どう説明しろってんだよ。 「帰れって言ってくるわ」 「おいおい。そりゃ可哀想だろ。  夕飯一緒に食おって言ってやれよ」 「じゃあ雨帷だけ一緒に行って来いよ」 「は?」 「いつでもお前にやるよ」 そう雨帷に吐き捨てて、売り場に向かった。
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