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「えっと…」
「うん」
何かを言おうとして、んーとか、あーとかしばらく考える少年。
そんなに言いにくいことなのか。
何だろう。お姉さんパンツ見せてとか叫んだんだろうか。
いやだな。それ。
そんな馬鹿なことを考えていたら、
少年が窺うようにこちらを見ていた。
「ん?何?そんなに言いづらい?」
「いえ、あの…覚えていないんですか?」
やっぱりさっきのでどこか打ったのかな、
なんて少し怖いことを言われたが、
そういわれても、記憶がまったくないこちらとしては
首をかしげるしかない。
誰かに呼ばれていた気もするけど、あれ、誰なんだろう。
「覚えてるのは、自分の名前と記憶喪失ってことみたい」
「……、」
考えても仕方ないからケロッとして見せたら、
少年は今度こそ言葉を失ってしまった。
「…おーい?」
「……」
というか、固まった。
手を目の前で振っても効果なし。
「どうしよう…勝手に動くのもまずいかな」
なんかあってもヤダしななんて思いながら、
何とはなしに周囲を見回した。
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