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「むむ……。」
フィラが行方不明になった翌日。
俺とガルトさんはフィラの部屋の机の上に置いてあった一通の手紙を見ていた。
「『愛しい我が娘よ、お前を迎えにきた。
欲望にまみれた人間の俗世からお前を救い出す。
お前の本当の力と出生の秘密、そして自分の正体が知りたければ聖霊の森に一人で来なさい。
迎えの者を待たせておく。
お前の本当の父より。』ねぇ……。」
「とりあえず分かることは三つじゃの。」
「えぇ。
一つ、フィラの親は人間ではない。
つまりフィラも人間ではない。
二つ、恐らくフィラは自分の意志で聖霊の森に向かった。
三つ、聖霊の森には精霊王が住まうことからフィラは精霊と何らかの関係がある……。」
ふむぅ。
「どうしましょう?」
「攫われたならともかくフィラの意志で行ったとなるとのぅ……。」
寂しさや怒りがごちゃ混ぜになったような複雑な顔をするガルトさん。
そうなんだよなぁ……誘拐だったら精霊を即刻お仕置きで事足りるがフィラ自身が自分の意志で行ったとなると俺らがしゃしゃり出るのはお門違いだしなぁ。
「よし、ユート君。」
「ハイなんでしょう?」
「魔天の煌帝、君に天姫の祈りマスターとして、そしてフィラの養父として依頼を出そう。」
ほう。
「期日は三日以内、内容はフィラデルフィア=アーヴァーンの捜索及び出奔の理由の調査。
報酬は後日相談………どうじゃ?」
ふむふむ。
依頼ならしょうがないな。
「受けましょうその依頼。」
さーて、俺にも黙って勝手に出てったんだ。
それ相応の理由があるんだろうな?フィラ。
「ここが……『スピリオン』。」
「ええ、フィラデルフィア様。
貴女の御父様、精霊王フィーデルノース様が統治していらっしゃる理想郷に御座います。」
「その……フィーデルノース、さん?に会えば…私は、強くなれるのですか?」
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