巨人は翔び、天女は謳う。

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さて、まずはヴァンキッシュ・改を航行形態にして…… 『全スラスター最大開放、GNドライブ全開、反重力リアクター回転開始、十秒後にTRANS-AMの後、最大加速で6.8km先の目標へと飛行。』 おおよそ五秒で巨大岩に激突コースだから…… 『上手い具合に空間開通させねーとな。』 そう言っている間にもヴァンキッシュ・改のエンジン機構が起動、ブースターに点火、さらに全体が赤く発光し、先ほどまで散らしていた緑の粒子が赤へと変わっていく。 『コクピット内の衝撃吸収機構起動、残り五、四、三、二、一………GO!!』 瞬間、周りの景色が全て色とりどりの横線だけになり、体に僅かにGがかかる。 だが時間は少ない、早速作業開始。 まずは空間接続で岩に触れられる距離に接続、手を伸ばしてさっきの映像通りに岩の表面を叩く。 そして音速を軽くぶっちぎるヴァンキッシュ・改が森の木々や土傀儡共をソニックブームで吹き飛ばしながら岩に飛翔し、残り一秒というところで、搭載されたスピーカーをONにし、 『境界の岩よ、道を開け!!』 直後、光を放つ巨大岩に突っ込んだ。 どこともしれぬ空間を一瞬で通過し、ついに俺は精霊達の集落に辿り着く。 音速で。 とりあえず減速と同時にステルス起動!! これで外側からは完全にヴァンキッシュ・改の姿は見えないだろう。 というわけで精霊達の集落を遊覧飛行する。 『すっげ……もう集落ってか国だな。』 眼下に広がる光景は美しい自然の中に統一された白亜の家々、そして巨大な湖の中央に建つ巨大な城。 城は世界一有名な「ハハッ。」さんの居城を真っ白にした感じ。 『ゆし、ちゃんとフィラの反応もあるな。』 予想通りというか湖中の城に。
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