巨人は翔び、天女は謳う。

9/63
前へ
/1051ページ
次へ
まずは正門、門番の精霊達が欠伸をしているのを見てから閉じられた門の上を通って内部に侵入する。 次に城の庭で鍛錬する鎧姿の精霊達。 指揮を執っているのは強そうだけど個性がなさそうな火の精霊。 次行ってみよう。 いよいよ内部に侵入。 一階は主に使用人達の生活区なのか重要そうなものは無い。 が、こういう場所で一番情報を持っているのも使用人達なので情報収集開始。 とりあえずアホみたいな量の洗濯物を持ったメイド二人の近くで会話を盗聴。 「………でねー?最近厨房のボブさんがまた新作に挑戦していてねー?試作品って色々くれるんだけど五個に一個くらいハズレがあるのよ。」 「相当迷ってるみたいだものね~、フィラデルフィア様に出すんだからその気持ちもわかるみたいだけど。」 ビンゴ。 「にしてもフィラデルフィア様……ここにきた当初からずっと笑って下さらないって話よ?」 「そうそう、暇さえあればリリアン様の所に修行を乞いに行ってるそうね。」 「やっぱり次期精霊王として自分を鍛えたいのかしら。 それはそうとこの前……」 次期精霊王? 詳しく知りたかったがそれっきりメイド二人は別の会話に移ってしまったので移動。 次は件の厨房に。 次は料理を作りまくっている筋骨隆々な土の精霊、多分ボブ。 「ングォォァァァ!!駄目だ駄目だ駄目だぁぁぁ!!!こんなっ!こんな家畜の餌のような駄作ではぁぁ!フィラデルフィア様の笑顔を引き出すことなどできない!!何が、何が足りないんだぁぁ!!愛か!真心か!刺激かぁぁ!!!」 オリーブオイルじゃないかな(笑) と、ここで別の料理人登場。 「おいボブ、根を詰めるのはいいが程々にしろよ?フィラデルフィア様だってお前の飯を美味しいと言ってくださったんだしよ。」 「ちっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!!!俺が求めるのはそんなお世辞じゃっなぁぁぁぁぁぁぁいっっ!!!ぐぬぉぉぉぉぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 そっとしておこう。
/1051ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40690人が本棚に入れています
本棚に追加