巨人は翔び、天女は謳う。

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「フィラデルフィア様に体術を教えた方々はとても優れた方のようですが、魔法や霊術を織り交ぜるとなると通常通りには参りません。 ……フィラデルフィア様、本日はこれくらいに……」 「まだ、できます……!これくらいじゃ、まだ足りま、せん!」 「そうですか……では。」 そう言って光の精霊、情報を統合して推測するにリリアンは再び右腕を隠すような構えをとる。 対するフィラはボクサーのような拳を前にした構え。 「「霊力、開放。」」 二人がそう呟いた瞬間、フィラの両の拳に虹色の、リリアンの左腕に純白の光のオーラが纏わりつく。 そして激突。 フィラが打ち込む神速のラッシュをリリアンは最低限の回避とオーラを使った防御でそれを防ぐ。 そしてフィラのラッシュが途切れる一瞬の、ほんの一呼吸にも満たない一フレームの隙に…… 「しっ!!」 手刀を打ち込んだ。 「くぁはっ!!?」 鳩尾にモロに入った一撃はフィラから呼吸を奪い、行動不能に陥らせた。 「今日はこれにて終わりです、体を休めてくださいフィラデルフィア様。」 「けほ、ごほっ!!……ハイ。」 リリアンは「回復薬を取ってくるので待っていてください。」と言うと、心配そうにフィラを見てから訓練場から出て行った。 「こんなのじゃ……全然ダメ、もっと……強く、ならないと……ユートさんの、隣には……立てない!」 ……………。 ステルス待機状態のヴァンキッシュ・改のコクピット内。 「なんとまぁ、ねぇ……。」 手紙、精霊、フィラデルフィア、フィーデルノース、精霊王、強さ、隣、ゴキノコリンチ。 様々なピースが俺の頭の中で一つの解を導き出して行く。 「なぞはとべてすけた。」 間違えた、 「謎は全て解けた。」
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