巨人は翔び、天女は謳う。

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「い、いやっ………!」 私はなんとか鎖から抜け出そうとするが鎖はほどけそうにもない。 「娘よ、少しの我慢だ。 さすればお前は……」 私の本当の父親が何か言っているが、私は精霊になることなんか望んでいない。 たとえ半分精霊であっても私は人間なのだから。 それに……… 「ああフィラデルフィア様、精霊になり次第直ちに僕と結ばれましょうぞ!」 あんなのと結婚なんてしたく無い!! 「リリアンさん!助けてください!!」 私は私をここに連れて来てくれた光の精霊のリリアンさんに助けを求めるが彼女は俯いたままでこちらを見てくれない。 「天の聖霊ソルフィよ、汝の力を以てして不純の乙女を純粋に浄化せよ。」 確か丞相と名乗っていた風の精霊のお爺さんがなにやら呪文を紡いでいる。 すると、私の目の前にうっすらと白い炎で形作られた女性が現れた。 「ソルフィよ!フィラデルフィア様の不浄を祓いたまえ!!」 白い炎の女性が私に手を伸ばしてくる。 逃げることはできない。 「いや……助けて………助けてユートさん!!!」 そして白い炎の女性の手が地響きと共に私に……… 触れない。 『いつもニコニコ……』 誰かの声がする。 自信に満ち溢れた声が。 『アナタの隣に……』 聞き慣れた声が。 私が目指す人の声が。 『這い寄る使い魔ユート=トキザミ……です!!』 目を開くと、巨大な白と蒼の巨人が私を見下ろしポーズを決めていた。 『呼んだか?我が主よ。』
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