巨人は翔び、天女は謳う。

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「はぁっ!!」 私はこちらに放たれた白炎の拳を最低限の動きで避け、顔面にサマーソルトを放つ。 顎をかちあげられたことで僅かに宙に浮いた聖霊ソルフィの胸部に自分の拳を密着させる。 ズドムッッ!! 寸勁。 ゼロ距離で放った衝撃が聖霊ソルフィの体を結界に叩きつける。 私は追撃すべく右腕に力を溜め、聖霊ソルフィに近づ ぞわり。 気づけば、私の体は無意識のうちにぐったりと結界にもたれかかる聖霊ソルフィから飛びのいていた。 姿形に変化は無い、でも確かに何かが聖霊ソルフィの中に『入った』。 「ふーん、私の力の一部とはいえ、ここまで押されてるなんて……アンタ、面白いね。」 今まで一切しゃべることのなかった聖霊ソルフィがこちらに話しかける。 私を見つめるその瞳は先ほどまでの人形のような目ではなく、好戦的な光を宿していた。 「最近暇だったんだ、アンタはアタシを愉しませてくれる?」 直後、私の下腹部に衝撃。 それが一瞬で私に肉薄した聖霊ソルフィが膝蹴りを食らわせたのだと認識すると同時に私は吹き飛ばされた。 フィラさん頑張ってますねー、俺も頑張らないとな。 『全く……相手はこっちを殺す気満々なのにこっちは不殺だなんて理不尽すぎる。』 しかも現実世界のほうなら精霊は実体がないから遠慮容赦無く殴れるがこっちでは実体化するから加減が難しい。 『まぁできないわけでもないし。』 要は戦闘不能にすればいいんどすえ。 俺は背後から飛んで来た岩弾を避けて発射したであろう岩傀儡をスターライト・ヴァリスタに装填した捕獲用ネット弾で捕らえる。 ヴァンキッシュ・改にできない事はあんまり無いのだよ。
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