九番目

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ここは、首都から遠く離れた、とある小さな村――― 山の麓には、1000年の歴史を持つと言われる古い神社が、存在した。 五年に一度行われる伝統行事を翌日に控え、巫女・舞羽 華澄と、近所に住む青年・如月 煉は、聖地とされる湖まで水を汲みに行っていた 湖までは4、5kmあるが、彼らにとってそれは大した距離ではない。大都市で機械なる物が発明され、5kmを20分程度で行くことが出来るのだから……ではなく。 古くより人類が頼ってきた魔法を使えば、機械を使うより遅くはなるものの、40分程度で目的地までたどり着ける。 問題は、魔法を使えれば、と言うこと。稀な事に、煉はあらゆる魔法を使えない。 そこで華澄の出番である。何故かは分かっていないが、神事に携わるものは魔力が高く、その扱いにも長けている。 その華澄にとって二人を湖まで移動させることは容易いことなのだが…… 華澄は何かぶつぶつ言っているだけで、何故か使わずに2kmも歩いている。
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