九番目

5/6
前へ
/6ページ
次へ
「どういう、事?な、何で、燃えてんの? みんなは?大丈夫なの?」 「そんなこと、行ってみねぇと分かんねぇだろうが!! 華澄、早く魔法を!全速のを頼む!」 「えっ?あ、うん。分かった。」 華澄が意識を集中する 二人の体が中に浮いたと思うと、猛スピードで移動し始めた。 重力の反転と空気の操作によって為せるこの術は、多少練習すれば出来る難しい物ではないが、華澄程のスピードを出せる者はそう多くないだろう。 何故なら、スピードを出せば出すほど、魔力の扱いを失敗した時のリスクが増し、大怪我をする可能性がかなり高いからだ。 四分という異常な速さで村に着いた時には、火は弱まっていた。家という家は燃え尽きていたが、神社はまだ少し残っていた。 華澄は初め呆然としていたが、何かを思い出したように神社に向かって駆け出した。 「おい、何をするつもりだよ!?」 「守らないと!!私の神社の家宝を!」 「お前んちの家宝?何だよ、それ」 煉が追いかけながらしたその問いに華澄は答えず、まだ燃えている倉庫の扉を吹き飛ばした。 そこには、一人の男が立っていた。 「何者だ?貴様等は」 「俺はこの村に住「それはこっちの台詞よ!!」 「聞かれて答える馬鹿が居ると思うのか?」 「俺は馬鹿だと?」 「「そうなるな(わね)」」 「くそっ!! な、なぁ華澄。あいつの真後ろにある丸い石みたいなのが家宝、か?」 男の後ろには小さい塔があり、そこには石が安置されている。 「うん、そうよバカ。他人に渡すわけには…いかない。」 「バカいうな!」 「ほう、やはりこいつがそうなのか。 では頂くとしよう。」 「渡さないって言ってんでしょうがっ! 弾けろ!!」 華澄は男の足元を狙って火球を繰り出す が、着弾する直前。 唐突に、火球が消えた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加