可愛いあの子

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赤ペンで、問い2の答えにチェックをし、5と記入する。 ほら、恋は数学によく似てる。 ため息を吐いてると、後ろから何かが飛んできて、机の上に乗っかった。 丸めた紙?ゴミ回してきたわけ? 多少イラつきながらも、その紙を広げた。 “カツサンド一個ね” ……絶対、晴馬だ。 名前が書いてないけど、内容的にそうだし、字的に見ても晴馬だ。 その言葉の下に、シャーペンを走らせる。 “ジュースにしてよ” 紙を丸めて、後ろにポイ捨てをする。 必死に噛み殺そうと笑い声をしているのだろうけど、「ぶっ…」と笑い声が聞こえた。 だって、カツサンドってコロッケパンより高いし。 ジュース一本奢る方が断然マシと、セコい考えが生まれた。 机の上に折り畳まれた、シワが付いた紙が乗っかる。 …今更、何折り畳んでるんだろ。 “じゃーイチゴオレがいい” 昔っから好きだったよね、それ。 “いーよ”と書き、後ろに回す。 そこからは何もなく、授業に集中した。
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