可愛いあの子

6/21
前へ
/410ページ
次へ
「ごとちーん!」 席が離れてるため、大きな声で呼ぶ。 「なにー?」 その場で返事をするごとちん。 「あのさ、購買まで一緒に行かない?」 あたしの誘いに、ごとちんは首を傾げる。 「嘉奈、いつも購買じゃないよね?今日弁当忘れたの?」 「んーん。まぁ、色々理由があってさ…。イチゴオレと、カツサンド買いに行くの」 ごとちんは何度か頷き、「いいよ」と誘いに乗ってくれた。 別に、イチゴオレでいいと思うんだけど――。 惚れた弱みに付け込まれた。 そんなの、あたしが晴馬を「好き」と思った頃からしてる優しさなのに。 晴馬は昔と変わらない態度で、すっかりあたしの気持ちには気付かない。 晴馬がそういう感情を、あたしに抱いてないからだろうな。 「……あれ、沖田じゃない?」 ごとちんの言葉で、意識を現実に戻す。 指を差している先には、確かに晴馬がいた。 何の用だろ?
/410ページ

最初のコメントを投稿しよう!

225人が本棚に入れています
本棚に追加