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「ごとちーん!」
席が離れてるため、大きな声で呼ぶ。
「なにー?」
その場で返事をするごとちん。
「あのさ、購買まで一緒に行かない?」
あたしの誘いに、ごとちんは首を傾げる。
「嘉奈、いつも購買じゃないよね?今日弁当忘れたの?」
「んーん。まぁ、色々理由があってさ…。イチゴオレと、カツサンド買いに行くの」
ごとちんは何度か頷き、「いいよ」と誘いに乗ってくれた。
別に、イチゴオレでいいと思うんだけど――。
惚れた弱みに付け込まれた。
そんなの、あたしが晴馬を「好き」と思った頃からしてる優しさなのに。
晴馬は昔と変わらない態度で、すっかりあたしの気持ちには気付かない。
晴馬がそういう感情を、あたしに抱いてないからだろうな。
「……あれ、沖田じゃない?」
ごとちんの言葉で、意識を現実に戻す。
指を差している先には、確かに晴馬がいた。
何の用だろ?
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