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分かってしまっているから、余計に無理だ。
あたしは晴馬が好きな事実は、天地引っ繰り返っても変えられない事実。
いっそ、晴馬に好きなひとでも居てくれればよかったのに。
……いるの、かな?
「ねぇ、晴馬は好きなひといるの?」
唐突な質問に、一瞬自転車がゆらゆら不安定になる。
「なにいきなり」
いきなりじゃないよ。
――ずっと、聞きたかったよ。
「んー…何となく」
「なに?好きなやつでも出来たわけ?」
笑いを混ぜながら、あたしに聞き返す。
「……秘密」
「なんだよ、それ」
肝心なとこで誤魔化してしまうなんて。
――いっそ、玉砕すればこの想いは、時間が消してくれるのかな?
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