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結局、晴馬のことは何も聞けず、自転車から降りることになった。
晴馬は誤魔化すのが得意だ。
……いるんだね、好きなひと。
「ごめん、あたし保健室寄るっ」
晴馬の返事も聞かず、そそくさ保健室へ向かう。
すぐに保健室に到着して、扉をノックする。
「はぁーい」
中から、西先生の声が聞こえる。
「先生、かくまって」
西綾子(ニシアヤコ)
学校の保険医で、若い先生。
あたしたちと年が近いから、色々相談しやすい。
あたしの気持ちを、唯一知っているひとでもある。
「なに?また相談?」
先生は眉を八の字に下げ、苦笑を浮かべる。
「……うん…。あたし、ホント身の程知らずかも」
つくづくそう思う。
想いは通じてる。
だけど、晴馬はこれからもあたしとは“幼なじみ”でいるつもりだ。
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