可愛いあの子

18/21
前へ
/410ページ
次へ
「無理に頑張れとは言わないけど、沖田くんを信じてみれば? 嘉奈ちゃんなら、大丈夫だよ」 ――信じる。 それは、大切なこと。 多分あたしが晴馬を“好き”という事実より、“信じる”ことの方が、きっと大切だ。 大丈夫。あたしは晴馬を、信じられる。 全て吹っ切れたあたしは、先生に笑顔を向けた。 「ありがと、先生っ! 流石長く生きただけあるね」 「うっさい、あなたたちとそんなに変わんないわよ」 最後に笑い合い、もう一度お礼を言ってから、保健室の扉を閉めた。 「……ふぅっ」 時計を見ると、一時限目が終わりそうな時間だ。 晴馬、心配してるかな。 あたしは弾んだ足で、教室へ向かった。
/410ページ

最初のコメントを投稿しよう!

225人が本棚に入れています
本棚に追加