可愛いあの子

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「全部答え書いといたから、安心してね」 「マジ?助かる」 バラバラに壊れる。 ズタズタに傷つく。 微笑み合う2人に、あたしが入り込む隙間なんて、ありはしない。 やっぱりあたしは、身の程知らず。 晴馬は目立つ。 なら、それ相応の目立つ子じゃなきゃ、晴馬には釣り合わない。 可愛いあの子みたいになろうとしても、それは偽物だ。 王子様は、お姫様の手を取り舞踏会へ誘う。 お姫様が脱ぎ捨てたドレスを身に付けても、あたしはお姫様にはなれない。 分かってたんだ。 「嘉奈?どーしたの?」 ごとちんにまた、心配かけてる。 「ううん、何でもない」 唇を噛み締めて、そう答えるのがやっとだった。
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