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「晴馬って……分かんないよね」
「は?急になに?」
この反応から、計算ではないことがわかる。
じゃあ、素で思ってくれてたのかな。
あたしが、“女”だということ。
「…遅刻するけど、どーする?」
能天気な質問をする晴馬。
「行くに決まってんじゃん!」
大急ぎで教室へ走る。
急いで階段を駆け上がった結果、遅刻だったけど。
その間には思わぬ収穫があった。
晴馬は、あたしを女として見てくれてた。
なら、まだあたしに望みはある?
――もうちょっと。もうちょっとだけ。
頑張ってみようかな。
明日からは、髪を結んでみよう。
こんな些細なことで、固く決心していた心は、呆気なく崩れ落ちる。
こんな単純だから、直ぐにあたしは茨の道を歩いてしまう。
自ら自分を傷つける道を、歩いてしまうんだよね――。
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