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「しんしょうあっちいけ!」
唐突、クラスに不穏な声が響きわたる
「…………。」
“しんしょう”と呼ばれた少年は気にも止めず持参した小説を黙々と読み続ける
「あの人でしょう。この間この学校に転校してきた生徒って」
「うん。なんでも左目が義眼らしいね」
なんの珍しくはない人間社会ではよくある風景だ
「先天性なんだっけ?」
「どうもそうらしいよ。先生たち話してるの聞いちゃってさぁ。てか身体細っ!羨ましいなぁ」
「……………。」
「名前なんだっけ?
「たしか………明六くんだったかな」
「ねぇ下の名前は?」
「忘れちゃったよぉ。本人に聞けば良いじゃん」
「嫌だよぉ。気味悪いもんwww」
「だよねーwww」
笑い声が聞こえる。厭なくらいに耳が犯しくなりそうなほどに
「…………。」
明六と呼ばれた少年は尚も口を閉ざしていた
しかし、少年はなにか思い詰めるような表情を取ったあと閉ざしていた口を開いた
「朱睦秋人。あけむつあきとです。」
刹那―待っていましたと言わんばかりに予鈴が鳴り響いた
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