5人が本棚に入れています
本棚に追加
「み”つ”な”り”ぃ”ーっ」
「い”え”や”す”ぅ”ぅ”ーっ」
確かこの時は小学二年の夏だった。
小学校学校に上がって二回目の夏休み、隣の仲が良かった友達が遠くに引っ越す事になったのだった。
私と友達は涙と汚らしく鼻水やヨダレを垂らしながらふたりで泣き合った。
その時に私はお揃いで買ったクマの縫いぐるみをプレゼントし、友達は自分の大事にしていた”戦国機動重戦士ホンダム”のおもちゃをくれた。
そして、二人は泣きじゃくりながら抱き合い、『また会うおう』と、この縫いぐるみに誓いをたてた。
友達の名は【徳川家康】
短い髪を上げ、いつも楽しそうにニコニコと笑うような奴で、いつも生傷が絶えず青タンや、絆創膏を貼っていた。まぁいつも半袖・短パンだったから…
そんな昔の話しは置いとくとして、なぜこんな話にいたったのかと言うと、家康が帰って来るのだ。
「三成、隣のヤスちゃん、一週間後かえってくるんだって」
「…家康が?」
一週間前、母にそう告げらた。
家康…懐かしい響きだ。
家康は今頃逞しくなっているに違いない。小学生の時はそりゃぁ、ガンコちゃんもビックリのパワフル男児だったからな…(遠い目)
きっと私より(これでも鍛えている)筋肉も凄いだろう…
あの時、貰ったホンダムは今も大事にとってある。
家康が帰って来ると言う事に内心ワケワクしながら、そんなこんなで、一週間後。
学校から帰ると既に業者がきて家具やら運んでいた。
少しだけ覗いてみたが、家康や家康の両親達は家の中に居るのか、私がパッとみる限りは外には居なかった。
少しだけ残念になりながらも、私は家に戻ってその日は終わった。
ーー次の日ー
「三成、隣のヤスちゃんにこれ渡して来てくれない?」
土曜日、家で課題をしていた私に母は箱菓子を渡し、買い物に行ってしまった。
買い物に行くならすぐ隣なのだから、置いてきたら良いのでは無いのか?
そんな事を考えながら、課題を早急に終わらせ、玄関に鍵を掛け徒歩で約30秒、家康の玄関前に立つ。
ドキドキしながら、昔は背伸びをしてやっと届いていたインターフォンを見下ろす感じで押すと、ピンポーンという電子音が流れ、家の中で誰かが玄関へと歩いて来る音が聞こえた。
ガチャンと中から鍵開ける音がすると、「はーい」という声が聞こえ、玄関のドアが開け放たれる。
.
最初のコメントを投稿しよう!