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なにせ自分は生まれてこのかた、オカルティックな事柄にはまったく縁がない人生を送ってきた。
霊感ならぬ零感である。
人並みに興味がなくもないが、自ら進んで心霊スポットに行くほど物好きでもないし、正直よくわからない世界だ。
だからまず実体験できるものならしてみて、今後どうするかを冬樹と考えていく事にした。
「お兄ちゃ~ん」
車の傍らで思考にふける兄の耳に、妹・春日の間延びする声。
「どうした?」
車を駐車場にいれて、5分以上経っている。
その間、その場から一歩も動こうとしなかった人間が、活動的な人間に対して「どうした」もない。
春日は敷地入口付近の草むらを指さして、言った。
「猫がいっぱ~いよ~!」
脳天気な妹の黄色い歓喜に、兄は熱い車体に頭をぶつけた。
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