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自分のほうが都会で、狭いながらも色々と便利な場所に住んでいるから勝ち~ぃ!などと強がりを言おうとも、やっぱり同年代の人間がいい部屋で暮らしているとムカッ腹も立つというものだった。
夏月は冬樹を解放し、Tシャツの袖でわずかな涙を拭うと、改めてリビングを見回した。
「しかも角部屋かよ? 日当たり、すげぇな」
冬樹は引かれて伸びたポロシャツの襟を正しながら、「うん」と頷いた。
「南向きだからリビングと和室は温室みたいだよ。窓の外に遮るものがないから余計にね」
「贅沢な悩みだな」
日光の直撃を避けるためか、リビング中央に置かれたソファにどっかと座り、夏月はふんぞり返って足を組む。
「客人に麦茶をもて」
「……はいはい」
冬樹がカウンター付きのキッチンに向かうその間に、春日がトトトトと移動して大きな窓に張りつく。
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