プロローグ

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……ぱた。 (え?) ぱたぱたぱた、ぱたぱたぱた、ぱたぱたぱた。 ひとつ聞こえたと思ったら、次々と。 連続で。 部屋の前の廊下を、玄関から奥へと駆け抜ける、足音。 一人……二人……三人……。 軽い、子供のような足音がいくつも走り抜ける。 3LDKのマンションの彼の自宅には、彼以外の人間は住んでいない。 誰かを泊めた覚えもない。 背筋が、凍りつくのがわかった。 全身の筋肉が強張る。 誰?とか。 なんで?とか。 そんな疑問よりも強く……強く、強く。 恐怖が、彼の心中を浸食する。 やがて、時計の針が2時40分を指すころになってようやく、 ──彼は、意識を手放せた。
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