1、助っ人

2/8
前へ
/53ページ
次へ
「ぅ~ん、やっと着いた~……」 ばん、と助手席のドアを閉めて、妹が空に向かって伸び上がっている。 「一仕事終えたようなツラすんな。ずぅっと隣で気持ち良さげな寝息たててたくせして。俺なんか4時間運転しっぱなしって……って、聞けよコラ」 運転席の窓から身を乗り出して、夏月がもうその場にはいない妹に対して舌打ちした。 シートベルトの拘束がなくなったとたん、少しもじっとしていられないのか……! 騒音公害なほどに、セミがうるさい。 真夏だった。 嫌になるほど夏真っ盛りだった。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加